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つまらない妄想話でも宜しければ、お話して差し上げましょう……
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徹夜で書き上げたゼネさん誕生日記念短編です。
一応ゼネテス×旅先女主レイを目指したつもりですが、ゼネテス→エリスに見えなくも無くなってしまいました。
其処にRomanは...あ、在るのかしら?(聞くな)


突発で書き上げたので、後日修正してからサイトの方にもアップしようかと思います。
タイトルは『blessing』、書きながら聞いてたFJ YUUKAさんの曲より拝借☆


....................


12月18日――
それは彼にとって、特別な意味を孕んだ日であった。
そう、今日は彼――ゼネテスの、誕生日。

 

宿屋のテラスから見上げた空には、一際輝ける上弦の月が浮かんでいた。
輝ける星々をも霞ませるその輝きを見上げ、ゼネテスは大きく息を吐いた。

もうそろそろ夕飯の時間だからと、仲間達が階下で呼ぶ声が聞こえてきたけれど。
もう少しだけ此の夜空を見上げていたくて、済まないと思いつつも聞こえない振りを装って。

 

 

誕生日を迎える度に、あの日の事を思い出す。
彼女との思い出――ゼネテスにとって忘れがたい一日となった、あの誕生日の思い出を。

 

 


それは、彼女にとって只の気紛れだったのかもしれないけれど。

「可愛い甥の誕生日を、偶には祝ってやらねばな」と彼女は言っていた。
あの時はもう誕生日などで浮かれる歳でも無かったけれど、彼女からの呼び出しが素直に嬉しくて、王宮への道を脇目も振らずに走った。

振る舞われた豪勢な料理。
空腹も手伝ってか、出された料理の全てを綺麗に平らげてしまった。
そこには彼女自身の分も含まれていたのだが――彼女は何も言わずに、ただ微笑を浮かべながら、自分が料理を美味そうに平らげる姿を見つめていた。

それは今まで食べた料理の中でも、お世辞抜きで一際美味いものに感じられた。
何処の一流シェフに作らせたのかと問うと、彼女は「自分が全て作ったのだ」と言った。

思わぬ言葉に目を丸くする自分に満足したのだろう、彼女は悪戯っぽい笑みをその端正な顔に浮かべて、
「なかなか腕前を披露する機会が無くてな。悪いがお前を実験台に使わせてもらった」
ちっとも悪びれる風も無くそう言ったものだ。

 

後にも先にも、彼女の手料理を食したのはあの1回限りだった。
その彼女も先の革命で命を落とし、今はもう、この世には居ない。

だけど、あの日の出来事だけは決して忘れることは無いだろう。
舌を打った美味い手料理の味と、そして、彼女の浮かべた嬉しそうな微笑みを――

 

 

「・・・・・・こんな所に居たのか、ゼネテス」

少しばかり不機嫌そうに自分を呼びかける声。
振り返ると其処には、赤色の髪の少女が憮然とした表情を浮かべて立っていた。

「さっきからずっと探していたんだぞ。返事の一つくらいしたらどうなんだ」

「すまねえな、レイ。ちょっと考え事をしてたもんでな」

「考え事ねぇ・・・・・・王妃様の事でも考えていたのか?」

「何で分かっちまうかなぁ?お前さん、結構勘が鋭いな」

「お前の顔を見れば分かる。鼻の下が伸びきっていたからな」

「はは、参ったなそりゃ・・・・・・」

「フッ、冗談だ。とにかく早く下に降りて来い」

からかわれていたのだと知り、思わず苦い笑みを浮かべてしまう。
あの革命でレイに命を救われて以来、どうも彼女には振り回されっぱなしだ。

 

「今日はお前の誕生日だという事で、私が腕によりをかけてご馳走を作ってやったんだぞ」

「ほぉ、お前さんが?」

「・・・・・・まぁ、私も決して料理の腕前が良いとは言えないからな。ルルアンタにかなり助けてもらった。シンにも毒見をさせてあるし、極端に不味いという事は無い、と思う」

「わざわざ俺の為に・・・・・・」

「そう、お前の為に、だ。私が心を込めて作った手料理、食わんとは言わせんぞ?」

ふふ、と彼女は不敵に笑う。紫色の瞳は自信に満ち溢れて輝いている。
しかし良く見ると、レイの手に小さな傷が沢山付いているのが分かった――恐らく、慣れない料理に苦戦を強いられたのだろう。

百戦錬磨の冒険者であるレイが一生懸命に手料理を作る姿を想像して、微笑ましいような――そして愛おしいような気持ちが、胸を満たすのを自覚した。

 

「ああ・・・・・・お前さんの愛がたっぷり詰まった手料理、ありがたく戴く事にするよ」

「馬鹿か、寝言は寝てから言え。ほらさっさと行くぞ」

言葉とは裏腹に、しかし彼女は嬉しそうな笑みをその顔に浮かべていた。
急かされるように腕を取られ、大きく引っ張られる。
触れた彼女の傷だらけの手。暖かい温もり。何処か照れたような、少女の喜びに満ちた笑顔。
その全てが、とてもとても、愛おしいものに思えた――

 


――どうしても守りたいものが出来ちまった。
悪いな、叔母貴。そっちへ行くのはもう少しばかり先の話になりそうだ・・・・・・。

 


――あの日の彼女との思い出を、自分は決して忘れる事は無いだろう。
そして、目の前の少女の愛しい笑顔もまた、決して忘れはしない――

 

 

 

 


●おまけ・黄金主編
(※物凄くくだらないです。要注意!)

12月18日、前夜――

「ねぇパパ」

「なんだいエル?」

「明日は何の日か知ってる?」

「(眉間に皺)・・・・・・・・・・・・世界で一番ろくでもない男の誕生日」

「ふふ・・・・・・パパってば・・・・・・。
誕生日プレゼントは、お嫁さんがいいと思うわ」


.........


「何を言い出すんだエル」

「この間ママが言ってたの。『ゼネさんもそろそろお嫁さんを見つけたらいいのにね』って。
ゼネさんも、きっとお嫁さんが欲しいと思ってるに違いないわ」

「(イリア、余計な事を・・・・・・!)」

「だからね、私一所懸命考えて決めたの。
私がゼネさんのお嫁さんになってあげるって!」

「!!!!!」

「ねぇパパ、そのプレゼントを、彼は喜んでくれるかしら♪」


.........


「イリアっ!お前、一体エルに何を吹き込んだんだ!!!」

「どうしたのよあなた。そんなに怖い顔しちゃって」

「エルがゼネテスの嫁になると言い出したぞ!ど、どうしてくれるんだッ!」

「あら、それも悪くないわね。ゼネさんなら信頼できるし、あの子を安心してお嫁に出せるわ」

「馬鹿な事を言うな!よりによってゼネテスなんかに、大事な娘を渡せるかぁぁぁッ!」

かつて『冷血の貴公子』と呼ばれた男の熱い叫びが、屋敷中に響き渡ったのだった。

 

そして、幾度目かの楽園への扉は・・・・・・開かれるわけも無かった。

 

 

すみません超すみませんほんの出来心だったんです(土下座)
サンホラの「エルの楽園[side:E]」をアレンジしちゃいました、アホな方向に。
黄金主イリアとレムオンの間に生まれた子の名前は「エル」だそうです(笑)


いい加減眠たくなってきたので、そろそろ撤退~!

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