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やたら長かったりギャグだったり甘かったりで忙しいレムオン×黄金主です。
突発で書いたので、細かいところは後程手直し加えることにします。
では、どうぞ☆
12月25日、聖夜。
ロストール・リューガ邸にて...
「今日という日を、皆で無事に過ごせる事を祝して・・・・・・乾杯!」
少女の掛け声と同時に、グラスとグラスのぶつかり合う澄んだ音が響き渡った。
「Merry Christmas!
今年も色々あったけど、クリスマスをみんなで一緒に過ごすことが出来て、本当に良かったわ」
グラスを傾けつつ、満面の笑みで語るのはイリア。
薄い黄緑色のワンピースを纏い、結い上げた栗色の髪には彼女の瞳の色と同じ、琥珀色の大きなバレッタが留められている。
いつもとは違う、女の子らしい出で立ち。今日という日をよほど楽しみにしていたのだろう。
「クリスマスパーティなんて、もう何年ぶりになるだろうね。
今年は二人も家族が増えたからね、今日は楽しく過ごせそうだよ」
「こんなに大勢でクリスマスを祝うのなんて、俺も久し振りだ。何だかわくわくしてきた!」
エストとチャカの楽しそうな談笑。
そして彼らとは正反対に、どことなく不機嫌な表情のリューガ家当主様の姿。
「・・・・・・なぁによ兄様、そんな辛気臭い顔しちゃって。
今日はクリスマスなのよ?もっと楽しく行きましょうよ!」
「辛気臭くて悪かったな」
ぶすっとした表情を押し隠しもせずに、レムオンは冷たく言い放った。
何故かその視線はイリアから微妙に逸らされている。
「年末で仕事がいつも以上に忙しいのだ。
異教の神を祝っている暇など、今の俺には無いのだが」
「そんなつれない事言わないでよ。折角みんな揃ったんだもの、せめて今くらい仕事の事は忘れちゃいなさいよ」
「全く、お気楽なお前が羨ましい限りだ」
「もーっ、ノリが悪いんだから本当に!
ねぇ、セバスチャンからもこのカタブツ兄様に何か言ってやってよ~」
「イリア様の仰るとおりです、レムオン様。
今日だけでも仕事の事を忘れて、楽しんで過ごしては如何でしょうか」
「そうそう。兄さんったら毎日毎日仕事ずくめなんだから、今日くらい羽目外したって罰は当たらないと思うよ?」
「あんまり仕事仕事ばっか言ってると、そのうちストレスでハゲるぜ?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
その場に居る全員に説得の言葉を投げかけられ、何も言い返せなくなるレムオン。
はぁ、と眉間に皺を寄せグラスに注がれた葡萄酒を呷る。果実の芳しい香りが鼻腔を刺激する。
「・・・・・・仕方が無い。今日だけだぞ」
「そう来なくっちゃあ!ありがとうね、兄様ッ!」
イリアが嬉しそうに微笑む。
その笑顔に魅了されたレムオンの眉間の皺が一瞬にして消え去ったのを、セバスチャンが微笑ましく見守っていた。
「ここに出てる料理の殆どは、私が気合い入れて作ったのよ。特にこのソテーは自信作なの、ほら兄様食べてみて?」
このスープもなかなかいい出来だと思うの。このミートローフも食べてみて。あ、葡萄酒注いであげるわね。
至れり尽くせりな義妹イリア、嬉しそうな表情を隠しきれないレムオン兄様。
そんな彼らをエストとセバスチャンが微笑ましく、チャカが恨みがましい視線で見守っていたのだった。
「パーティも盛り上がってきた所だし、何かみんなでゲームみたいな事やらない?」
「さんせー!俺ビンゴとか人生ゲームとかやりたい!」
「それもいいけど、もうちょっと盛り上がるものにしようよ。王様ゲームとか!(にっこり☆)」
「き、却下!俺は断固拒否するッ!」
「あれ何で兄様顔赤くなってるの?」
「はーいそれじゃあ僕が王様ね!赤い服を着た人が、緑の服を着た人にキスして下さ~い!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・!(やはりそれが狙いかエスト!)」
「えっいつの間に王様ゲーム始まってたの?赤い服?緑の服って誰の事???」
「うわぁぁぁ何だそのピンポイントな命令はッ!姉ちゃんにそんな事絶対させないんだからな!」
「だから、何の話なのよ???」
「王宮御用達の高級ワイン店より取り寄せました、極上の葡萄酒でございます」
「わぁありがとうセバスチャン!これが極上葡萄酒というものなのね!(ぐびぐび)」
「おい、姉ちゃんあんまり飲みすぎるなよ?お酒弱いんだから・・・・・・」
「あ、本当これ美味しいね!これなら何杯でもいけそうだよ」
「王宮御用達なだけあるな。味は悪くない」
「こんなに美味しい飲み物は初めてだわ!もう一杯貰えるかしら?」
こうして、リューガ一族のクリスマスは賑やかに過ぎていったのだった。
「・・・・・・ああ、何だか顔が灼けるように熱いわ。世界がぐるぐる回ってる・・・・・・」
「飲みすぎだ、馬鹿者。節度というものを知れ」
顔を真っ赤にしてソファに突っ伏したイリアを、呆れたような表情でレムオンは見下ろした。
酔っ払ったイリアに無理矢理飲まされたチャカと、ふらつく足取りの彼を連れたエスト、セバスチャンも片付けを終えて既に此処から去った後だ。
つまりそれは、イリアとレムオンが二人きりで此処に残されたことを意味している訳で。
エストとセバスチャンはそれを狙っていたのだと、レムオンはしっかり気付いている訳で。
鈍いイリアはそんな事知る由もなく、無防備な姿でソファに寝そべっている。
「何だか意識が朦朧としてる。部屋に戻るの面倒くさいわ・・・・・・このまま此処で寝ちゃ駄目?」
「駄目だ。こんな所で寝たら風邪を引くぞ」
世話の焼ける娘だ・・・・・・そう言いながら義妹の身体をひょい、と抱え上げる。
「ごめんなさい、兄様。本当にお世話かけます」
「全く、酒が弱いくせに飲みすぎなのだ」
「・・・・・・こんなに賑やかなクリスマスを過ごすのって、久し振りだったから。
少し、羽目を外しちゃった」
父さんと母さんがまだ生きてた頃はね、私とチャカと4人で、毎年賑やかにお祝いしてたのよ。
小さなケーキといつもより豪華な夕食。みんなでお祝いの歌を歌って、ケーキの蝋燭を吹き消して。
決して裕福ではなかったけど、それでも私は幸せだった。
だからね、今日こうやってみんなで楽しく過ごせた事、本当に嬉しかったのよ・・・・・・。
夢現の状態で、ぽつぽつと語りだすイリア。
腕の中で柔らかく、幸せそうに微笑む彼女が堪らなく愛おしく感じられ、レムオンは無意識のうちにイリアに顔を寄せていた。
それに気付いたのか、イリアも嬉しそうに頬をすり寄せてくる。
「ありがとう。大好きな兄様と一緒に過ごせて、幸せです・・・・・・」
――ああ、この娘はかなり酔っているのだ。だからこんな言葉を、恥ずかしげも無く口に出来るのだ。
そして今の俺も、大分酔ってしまっているらしい――
唇を、重ね合わせる。
愛おしい少女の存在を確かめるかのように・・・・・・額に、頬に、首筋に、何度も何度も口付ける。
少女がくすぐったそうに身動ぎする。その動きを封じるかのように、強く彼女の身体を抱き締める――
かたん、と。
不意に部屋に響いた音で我に返った。
(俺は今この娘に、何をしていた・・・・・・?)
安らかな表情で眠りに落ちたイリアとは裏腹に、レムオンは先ほどの自分の行動に愕然としていた。
違う、あれは平常心で起こした行動ではない、酔っていたのだと、何度も自分に言い聞かせる。
まだ早い、この想いを伝えるには、まだ今は早すぎる――
もう一度この少女に触れてしまえば、きっと抑えが利かなくなる。
しかし、彼女をこのまま此処で眠らせておくわけにもいくまい。
セバスチャンか誰かに運ばせようと、半ば途方に暮れた気持ちでレムオンはその場を後にするのだった。
イリアの幸せそうな寝顔を、最後に視界に焼き付けて。
「ねぇねぇセバスチャン、今の見たよね?」
「はい。しかとこの目で拝見しました」
「オクテだと思ってたけど、兄さんもやる時はやるんだね。僕見直しちゃったよ!」
「私は始めから、レムオン様の事を信じておりましたよ」
「これでリューガ家の将来は安泰だね!
あ、分かってるとは思うけど、今見た事はチャカには内緒だからね?」
「勿論、承知しております」
「ふふっ、最高のクリスマスプレゼントをありがとうね、兄さん!」
二人のウォッチャーは顔を見合わせ、悪戯っ子のように微笑むのだった。
....................
やっべぇ長くなりすぎた。でも書きたいこと書けたからとりあえず満足。ふふ。
クリスマスだから甘い話を書きたかったんです。クリスマスで無くても書きたがる傾向にあるけど。
さて、いい加減眠くなってきたのでそろそろ撤退しま~す!(脱兎)