つまらない妄想話でも宜しければ、お話して差し上げましょう……
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今書いてるジルオール長編小説の外伝のようなもの・その2
リューガの変・アトレイアルートでティアナ様闇落ち。やたらシャリと仲良しです。
闇色成分高めで主人公は登場しません。
以下のリンクからどうぞ!
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僅かに空気がざわついたような気がした。
胸騒ぎがする。不吉な予感。まさか彼女が討たれたのか。
今すぐ王妃の元へ引き返したい衝動に駆られる。しかしアトレイア王女を守り抜くのがタッチストーンの使命。これは他ならぬエリスの命令なのだから。
不穏な想像を払いのけるように首を大きく振る。大丈夫だ。王妃様はまた生きて会おうと言った。彼女が今までタッチストーンの信頼を裏切った事があるだろうか。
そうだ。心配要らない。きっと大丈夫――
「……私は一人でも大丈夫です。叔母様と、ティアナ様の所へ行ってください」
「アトレイア様?」
「この秘密通路の事は、レムオン様達もご存知ないはず。ここからは私一人で行けます。だからどうか、貴方はお二人の元へ向かってください」
「申し訳ありません、アトレイア様。私は……」
「いいえ、どうか気に病まないでください。叔母様とティアナ様の事、よろしくお願いします」
「……ありがとうございます、アトレイア様。どうかお気をつけて!」
クローゼットに隠された秘密通路。その存在はタッチストーンさえ知らなかった。恐らく敵方も知らないはず。
今のアトレイアに、かつて忘れられた王女と呼ばれた頃の面影はどこにも見当たらなかった。部屋の外へ踏み出すことすら恐れていたという彼女は、しかし今は自分一人の力でこの過酷な状況を切り開こうとしている。
隠された通路の先は仄暗く、冷たい空気が身を刺した。しかしアトレイアは恐れる様子も無く進んでいく。
その頼もしい背中を見送り、クローゼットの扉を固く閉ざした。どうかここが奴らに見つかりませんように――
「あら、お母様の言いつけに背くなんて、貴方はいけない人なのね」
侮蔑の混じった、しかしどこか楽しげな声が背後から投げかけられた。
背筋が凍りつくのを感じた。馬鹿な。この部屋には自分達の他には誰も居なかった筈。
しかしタッチストーンを更に驚かせたのはその声の主だった。恐る恐る振り向くとそこには、もう一人の王女と黒ずくめの少年の姿。何故、と思うよりも先に覚えたのは恐怖。二人から発せられるこの凄まじい殺気は何なのだ!
「あ~あ、アトレイアは逃げちゃったね。どうする、ティアナ?」
「大丈夫よ。出口に魔物を仕掛けてあるの。あの子がきっとアトレイアを八つ裂きにしてくれるわ」
「さっすがティアナ!で、この不忠義者はどうしよっか?」
「ふふ……もちろん、死をもって償ってもらうの」
お止め下さい。何故なのですか、ティアナ様!
そう叫ぼうにも恐怖で唇が奮えて言葉に出来ない。そんな彼女の様子を嘲笑うように、ティアナが囁きかける。
「誰も彼もアトレイアばかり庇うのね。許せない。みんな、死んでしまえばいいんだわ」
「そ、のような事……仰らないで、ください、ティアナ様……!」
「君、王妃の命令でアトレイアを守ってたんだよね。娘のティアナじゃなくて、アトレイアの方をさ」
「お前……一体ティアナ様に何を吹き込んだのだ……!」
「彼を愚弄しないで。彼は、私にこんなに素敵な力をくれたのよ」
直後、ティアナの全身を漆黒の闇が包み込んだ。
彼女を包んでいた闇は黒き刃へと形を変え、その切っ先はタッチストーンの心臓に狙いを定める。
邪悪な笑みを浮かべるティアナに、かつて光の王女と呼ばれた頃の面影は見出せなかった。あんなに優しかったティアナ様が何故、こんな事に……!
「心配しなくても大丈夫よ。貴方の大好きなお母様が、先にあの世で待っているわ」
「そ……そんな、まさか……エリス様っ……!」
「王妃を殺したのは別の人間だけどね。まあ、さっさと殺っちゃいなよティアナ」
「後でアトレイアも後を追わせてあげるわ。それでは、さようなら……」
――悲鳴すら、上げられなかった。
正確にタッチストーンの心臓を貫いた黒き刃は、彼女の生命を奪った瞬間にその形を失った。
血の一滴すら、流れなかった。事切れた女の亡骸は、傍から見ればまるで眠っているような。それが彼らのかけた情けとでも言わんばかりに。
「王妃と一緒だ。呆気無い最期だったね」
「物思いに耽ってる暇は無いわ。この王宮を鮮血で染め上げなければ」
「そろそろゼネテスも王宮へ着く頃だよ。ふふっ、段々面白くなってきたね!」
「――全てを無に帰すの。これはまだ、その第一歩に過ぎない……」
破滅への秒読みは既に始まっていた。
狂いし運命の歯車。その迷走はもう誰にも止められなかった。それは当事者達も例外ではなく。
迷いし者達を導くのは、無限の魂の担い手か――
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エンサイによるとタッチストーンは闇王女に殺害されたらしいです。
一回目のタイムアタックで王女が魔物に襲われていたのは、もう一人の闇に落ちた王女の陰謀?という妄想。
この後黄金主イリアが駆けつけ義兄もゼネさんもアトレイアも全員まとめてお持ち帰りする予定です。すげえや無限のソウル。
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